2025年04月08日
前回、不動産の仲介査定における ”高預かり” が蔓延している理由についてご説明しましたが、そもそも高預かりの手法は最近できたものではありません。
しかし、近年はインターネットと、不動産一括査定サイトの普及により、不動産業者が簡単に売却希望の売主様と出会える様になった為に表面化して来た訳です。
”仲介予想価格のオークション” という馬鹿げた業者間の争いの被害者にならない為に、高預かりの弊害をご説明します。
まず、相場からかけ離れた価格で不動産を売りに出しても当然のことながら売れる道理がありません。
それどころか、新聞広告やインターネット広告に何か月も掲載されていると、買主の目には ”売れ残り物件” と映ります。
情報には鮮度と言うものがあり、鮮度の落ちた情報に買主は魅力を感じなくなるのです。
ただ、いくら相場からかけ離れた価格であっても、公開直後はその情報鮮度からお問合せの数件は入ることが多いです。
しかしそれも当然無くなってきます。
専任媒介契約の場合には、2週間に1回以上、売主様に販売活動状況を報告する義務がありますが、公開当初、業者としては自信ありげに報告することでしょう。
”反響は上々です” 売主様も期待が高まります。
しかし、1か月、2ヵ月経っても、購入希望者が現れる気配がありません。
業者からは ”ちょっとここのところ反響が減りました” なんて報告を受けることでしょう。
3ヵ月が経過し、専任媒介契約の更新時期を迎えます。
売主様としては、引き続きその業者に任せるか、業者を変えるかを決めることが出来ますが、業者としても当然そう簡単に専任媒介契約を解除はさせません。
”今は全体的に反響が減っている” ”もうじき不動産が動き出す時期が来る” など理由はなんでもいいのです。伝染病でも株安でも台風でも地震でも・・・
とにかく専任媒介契約を更新させることだけを考えます。気の早い業者は、そこで販売価格の見直しを提案してきます。
”2600万円から100万円下げたら反響が増えますよ” と。まあそれでも以前、B社が提案した2300万円よりも高いわけだし・・・
売主様としても3ヵ月間販売活動をしてもらったという恩もあるのかもしれませんし、 反響が減っているもっともらしい理由を説明されれば、このタイミングでの値下げもやむを得ないという心境になってしまうのです。
”これで反響が増えると思います。引き続き頑張ります!”
まあそんな値段でも売れないことは業者は百も承知です!だって初めからその気にさせるのが目的なんだから!
本当の相場は2000万円だって業者も買主もみんなわかってるんです!
知らないで期待してるのは売主様だけ!
まあ残念ながらこんなやりとりが一般的に行われているのが、不動産仲介の世界です。
次回はまた販売活動3ヵ月目以降のやりとりをご紹介します。